相続対策の選択
【2024年07月08日】
相談者「私は1億円の土地のみ所有しており、預金はほとんどありません。相続する息子2人はあまり仲が良くないです。相続税の節税のため、借入をしてこの土地にマンションを建てようと考えていますが、この対策で良いでしょうか?」
弊社ご提案「相続時の遺産分割を考えて、対策を再検討しましょう」
相続対策には種類があります。
· 争わないための遺産分割対策
· 納税資金対策
· 相続税の節税対策
· 資産の最適運用対策
·「まさか」に備えた対策
相続とは親から子へ、子から孫へ、経済的な財産だけでなく、生きるための知恵も含めてあらゆるものを引継いでいくことです。親が望む一番のことは、兄弟姉妹仲良く力を合わせていってほしいということではないでしょうか。
過去の経緯やご家族の事情で、兄弟姉妹仲良くできないという方もいらっしゃいます。しかし、法律上は兄弟姉妹が平等に相続の権利を持っているため、このケースでは遺産分割でもめることになります。その対処のために「争わないための遺産分割対策」が大切です。
今回のご相談の内容を検討してみましょう。
〈相談内容〉
·ご相談者様の所有財産は土地1億円のみ、預金はなし
·所有している土地に借入金を起こしてマンションを建築する予定
·相続人は息子さん2人、仲が良くない
借入金を作ってマンションを建てることで相続税の納税額は抑えられます。しかし、現預金を持たない本ケースでは、息子さんがお二人とも物件の相続を主張した場合、兄弟2人で共有せざるを得なくなります。マンション経営で意見の相違が出て、関係性をさらに悪化させることになりそうです。
また、相続に伴って孫同士、ひ孫同士へ細分化していくと、いつしか疎遠な者同士が共有することになり、マンション経営が親族同士の揉める要因になる可能性も高くなります。
今回のご相談では、ご家族の将来を重視した結果、マンション経営での相続対策ではなく他の対策を取られることになりました。
「相続税の節税対策」はできたとしても、「争わないための遺産分割対策」や「資産の最適運用対策」ができていなければ、対策の意味がなくなってしまいます。
相続税の節税だけでなく、それぞれのご家庭の個別事情を考慮し、バランスよく相続対策を行っていくことをお勧めします。