今後は増える?相続時精算課税の利用について
【2024年07月20日】
「相続時精算課税」を選択すると、累計で2,500万円まで贈与税が非課税(超えた分は一律20%)になり、贈与の恩恵が受けやすくなります。その代わり相続時にはこの贈与分も相続財産に含めて相続税が課税されます。原則、子や孫が父母や祖父母から贈与を受けた場合にこの制度を適用できます。制度を選択適用後は、暦年贈与を選択できません。
実はこの制度を利用した申告はそれほど多くありません。過去10年間では2013年の5.2万人がピークで、2016年以降は4万人台で推移しています。
令和5年度税制改正で2024年1月1日以後の贈与について改正がされました。改正後の相続時精算課税制度について、以下2つのポイントが言えます。
① 毎年110万円までの贈与なら贈与税の申告が必要ない
② 毎年110万円までなら将来の相続において相続財産に加算する必要がない
毎年110万円を超えた分だけ相続財産に加えればよい
一方、暦年贈与の生前贈与加算の対象期間が3年から7年へ延長されました。この場合、対象期間にした贈与の全額を加算することになります。比較して考えると相続時精算課税制度は今後活用を検討する余地があるといえます。
参考:国税庁「令和4年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」
https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0023005-053.pdf